TALK MEMBER鉄道事業本部 施設部 線路課 課長
近藤 真哉(1997年入社)

橋や鉄道を形づくる技術に憧れて

父が土木の仕事をしていたので、土木の世界はもともと身近に感じていました。高校生の時に 1988年に開通した瀬戸大橋のドキュメントを見ていて、土木技術の粋を集めて、大きな橋や鉄道を形づくる様子に圧倒され、「いつかは自分もこの道に」と決意。西鉄に就職したのもやはりそうした憧れが背景にありました。私が入社した当時は、西鉄福岡駅の大規模リニューアルが行われており、土木技術者としてそのような規模の大きな仕事に携われるのではないかとわくわくしたのを覚えています。
入社後、数年間は、現場で工事や設計、施工管理をしながら土木の基礎を学びました。それから、現場の管理部門を担当し、マネジメントの経験も同時に積むことに。6年目には、天神大牟田線の最高速度を時速100kmから110kmに向上するプロジェクトチームに選ばれ、技術者として参加しました。大きな転機になったのは、国土交通省の政策系シンクタンクである「運輸政策研究機構」のメンバーとして東京で働いた2年間でした。さまざまな交通系インフラの会社からいろんな専門分野の方々が集まり、鉄道新線の需要予測など鉄道政策の方向性について調査・研究を行うのですが、私はまだ7年目で経験も浅く、上⾧や大学の先生方に指導いただきながら日々勉強させてもらいました。また、会社とは違う場所で人間関係を構築していくのも初めてで貴重な経験になりました。国がどういう考えでいるかを知り、政策を決める現場に立ち会えて、見ているだけでも視野が広くなりましたね。ちょうどその頃、プライベートでも結婚し、子どもが生まれたこともあり、初めて尽くしの毎日でした。

技術を柱に、仕事を通して、視野も広げて

福岡に戻ってからは、鉄道の営業部門で駅のバリアフリーや安全マネジメント、新しい駅務機器の設置などに携わりました。それまでの技術職とは違った視点で、よりお客さまに近いところで仕事をすることでお客さま視点の重要性を肌で感じることができました。
そして、今も続いている天神大牟田線の連続立体交差事業の担当課⾧になりました。地上を走る線路を高架化して、道路との立体交差や新しい駅をつくるプロジェクトで、これまでに経験したことのない大規模な工事です。入社前に憧れた地図に残る仕事なので、任命されたときはとても興奮しました。技術も営業も含め、社内外の多くの人が関わる事業で、また線路のすぐそばで工事することもあり、施工管理面で気を遣うことも多々ありましたが、技術者としてのやりがいも大きかったです。
今は線路課の課⾧として、土木全般の管理、予算や人事の統括、対外的な交渉ごとや鉄道用地の管理など、幅広い業務に携わっています。それぞれ専門の担当がいるので俯瞰してマネジメントの立場で見ながら、ICTを導入したり、業務効率化を図ったり、時代に合った職場環境の改善に努めています。

置かれた場所でできることを全力で

「運輸政策研究機構」に参加したことも転機でしたが、実はつい 2019年にも大きな転機がありました。それは会社から参加させてもらった「九州・アジア経営塾(KAIL)」です。九州の企業や団体から派遣された人たちが集められ、組織を躍動させ、変革をリードできる人材を育てるための「碧樹館プログラム」に参加しました。11カ月間、隔週の土日に講義が行われ、各界の第一線で活躍される講師の方々による貴重なお話や他社で活躍する仲間との出会いはかけがえのないものでした。
中でも印象に残ったのがアフガニスタンで人道支援に取り組まれた故・中村哲医師の講義です。医学の知識を柱に、現地で医療活動に従事されていましたが、「水があれば、多くの病気を解決できる」として、用水路を建設し、多くの住民や農民が暮らしていける基盤を整えたのです。土木に関しては全くの素人だったそうです。「命を救う」という目的のために何が必要かということが明確なんですね。そしてその目的を実現するためにとにかく行動をおこす。中村さんとは比べものになりませんが、私自身もこれまでいた場所いた場所で、何事にも目的を意識して一生懸命に取り組もうと心がけていました。中村さんが大切にされていた「一隅を照らす」という言葉は、置かれた場所で最善を尽くすという意味ですが、今は私もこの言葉をとても大切にしています。
西鉄に入って、技術者としてだけでなく、いろんな形でものづくりに携わり、また社外でも新しいコミュニティで自分自身を磨くことができました。西鉄は他の鉄道会社と比べると事業規模は大きくないかもしれませんが、だからこそ全体を俯瞰して見ることができて、いろんなことにチャレンジさせてもらえるという意味で、私にとっては最良の選択だったと胸を張って言えます。

個として成長し、組織の中で磨かれる

私は普段から、「人間は関係である」と思っています。人は個人で成⾧や変化をするけれど、やはり関係性でつくられる部分が大きいんですよね。いろんな仕事や部署を経験し、関わる中で先輩や上司から影響を受け、変わっていく。自分の強みを発見したり、気づきがあるのも人といるからこそです。年齢を重ね、経験を積むことで自分を起点にさまざまな関係を築いていきます。技術+マネジメント+折衝力が高まり、技術以外の総合職とともに働くことでまた新たな関係も生まれていく。土木工事では他社や行政との関係から学ぶことも多々あります。こうして人との関係の中で自分が変わり、ひいては世の中のために仕事ができる。
最初は、目の前の仕事や個人としての技術を高めることだけを考えていてもいいんです。徐々に自分は何ができるのか、企業は何のためにあるのか、社会に貢献するためには何をするべきかと徐々に視野が広がっていきます。頭で勉強することと実地で経験すること、どちらも自分を育ててくれます。最初は興味を持てなくてもチャンスがあれば色々とチャレンジしてみてください。思いもしなかった場所で化学反応が起きて、自分が想像した以上に成⾧できることがありますよ。

記事内容および所属は取材当時のものです。

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